コウゾリナ(顔剃菜・剃刀菜・髪剃菜・顔剃り菜、学名: Picris hieracioides subsp. japonica)はキク科コウゾリナ属の越年草(二年草)または多年草。日本の野原や道端でふつうに見みられる野草で、植物分類学においてはヨーロッパを中心に分布するセイヨウコウゾリナの亜種とされる。別名、カオソリナ、タンポポナ。和名「コウゾリナ」の由来は、草全体に生えている毛が剛毛で、男性の顔面のひげそのものや、ひげを剃ることから連想して名付けられたとされる。中国名は日本毛連菜。
特徴
日本の北海道から九州の範囲に分布する。山地や丘陵地、山野の日当たりのよい草地や土手、荒れ地、道端などでふつうにみられ、やや日陰の場所でも耐える。まばらに、あるいは集団をつくり群生する。
越年草。茎は直立し、伸びると高さ40 - 100センチメートル (cm) になる。根は紡錘状。 全体に褐色の毛がびっしり生えているのが特徴で、若いときはやわらかく、生長した茎葉では毛が硬くなり、触るとざらざらした感触がある。そのため、多くは葉の中心軸が赤褐色を帯びている。 葉には根出葉と茎につく葉があり、根出葉は開花時には枯れている。茎につく葉は互生する単葉で茎を抱き、葉身は長さ8 cmほどの披針形である。倒披針形の根出葉はタンポポに似たへら型で、冬の間はロゼット状に根元から四方に広がって、地面にへばりついて春を迎える。
花期は5 - 11月ごろ。春になると分枝した枝の先に散房状の花序がつき、タンポポを小さくしたような径2 - 2.5 cmの黄色い頭花を咲かせる。頭花は30 - 34個からなる舌状花だけでできている。果実は細長い茶褐色をした痩果で、数本の縦筋があり、多数の横ひだがある。頭果はタンポポのよう羽毛状の冠毛がついて球状になり、冠毛の中に痩果が見える。冠毛は淡い白褐色で、痩果よりも長く、風に乗って飛ばされる。
同じような場所にはブタナが生えていることも多く、ブタナのほうは茎に毛がなく、花茎が枝分かれしていて、途中に葉がないことで区別できる。
利用
食べられる野草の一つで、早春から春までの若苗や若葉、茎の先端は食用にできる。ただし、開花する時期には葉は硬くて食用にならない。やわらかい葉をしっかり茹でて、お浸し、和え物、煮浸し、油炒め、汁の実などにしたり、生のまま天ぷら、煮つけ、汁の実にする。食味は灰汁抜きしなくても食べることができ、剛毛があっても茹でたり揚げたりすることで気にならなくなり、クセや苦味はないと評されている。しかし一方で、食べてみて美味だったとする書評はみられないという意見もある。
また、全草を薬用とし、健胃作用や整腸作用があるとされる。
脚注
参考文献
- 金田初代、金田洋一郎(写真)「コウゾリナ」『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、14頁。ISBN 978-4-569-79145-6。
- 川原勝征『食べる野草と薬草』南方新社、2015年11月10日、30頁。ISBN 978-4-86124-327-1。
- 鈴木庸夫、高橋冬、安延尚文『増補改訂 草木の種子と果実: 形態や大きさが一目でわかる734種』誠文堂新光社〈ネイチャーガイドブック〉、2018年9月20日、48頁。ISBN 978-4-416-51874-8。
- 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、47頁。ISBN 4-05-401881-5。


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