国鉄タキ20700形貨車(こくてつタキ20700がたかしゃ)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)及び1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に在籍した私有貨車(タンク車)である。
概要
本形式は、パークロールエチレン及びトリクロールエチレン専用の35t 積タンク車として1971年(昭和46年)3月3日から1974年(昭和49年)7月18日にかけて3両(コタキ20700 - コタキ20702)が、富士重工業、日本車輌製造にて製作された。
1987年(昭和62年)4月27日に2両(コタキ20703 - コタキ20704)が、タキ10700形より改造のうえ本形式に編入された。
記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「コタキ」と標記する。
トリクロールエチレン及びパークロールエチレンを専用種別とする貨車は、本形式の他には例がなく唯一の存在であった。トリクロールエチレンのみを専用種別とする貨車には、タキ200形の1形式があった。
落成時の所有者は、関東電化工業、旭硝子、旭化成工業の3社であり、夫々の常備駅は群馬県の渋川駅、千葉県の浜五井駅、宮崎県の南延岡駅であった。
1987年(昭和62年)5月21日に1両(コタキ20702)が関西化成品輸送へ名義変更された。その後日本石油輸送を経て再度関西化成品輸送へ名義変更された。
1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号「96」(有害性物質、毒性のあるもの)が標記された。
荷役方式は、タンク上部のマンホールからの上入れ、液出管と空気管使用による上出し方式である。
車体色は黒色、寸法関係は全長は11,100mm、全幅は2,420mm、全高は3,552mm、軸距は7,000mm、自重は13.8t、換算両数は積車5.0、空車1.4であり、台車はベッテンドルフ式のTR41又はTR41E-12、TR41DS-12である。
1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には3両(コタキ20700 - コタキ20702)がJR貨物に継承された。1995年(平成7年)度末時点では3両全車が健在であったが、2007年(平成19年)10月に最後まで在籍した2両(コタキ20700 ,コタキ20701)が除籍され、形式消滅した。
年度別製造数
各年度による製造会社と両数は次のとおりである。(改造による編入車は改造会社。所有者は落成時の社名。)
- 昭和45年度 - 1両
- 富士重工業 1両 関東電化工業(コタキ20700)
- 昭和48年度 - 1両
- 富士重工業 1両 関東電化工業(コタキ20701)
- 昭和49年度 - 1両
- 日本車輌製造 2両 旭硝子(コタキ20702)
- 昭和62年度 - 2両
- ? 2両 旭化成工業(コタキ20703 - コタキ20704) コタキ10719、コタキ10723(タキ10700形)よりの改造車
参考文献
- 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
- 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)
脚注
関連項目
- 国鉄の車両形式一覧



