E形は、かつてオーストリアの首都・ウィーンの路面電車であるウィーン市電で使用されていた電車。1959年から2000年代まで営業運転に用いられ、一部車両は他国の路面電車へ譲渡された。
概要
ドイツの鉄道車両メーカーであったデュワグ(現:シーメンス)が展開していた路面電車車両(デュワグカー)をオーストリアの各企業がライセンス生産した形式。連接部分に付随台車を有する構造の2車体連接車で、右側通行に適した片運転台・片方向型車両として設計が行われた。
1959年に試作車2両(4401、4402)がローナーによって製造され、各種試験に使用された。そのうち4401はエリン(ELIN)/キーペ(Kiepe)製の、4402はシーメンス製の電気機器が搭載され、試験の結果4401の構造を基に量産が行われる事となった。また、これらの車両は製造に携わったローナーの社員から「エミル(Emil)」(4401)、「エディ(Edi)」(4402)と言う愛称が付けられており、量産車や以降生産された2車体連接車も「エミル」と呼ばれる事があった。
量産車は1959年から1966年にかけて製造され、ローナー製の車両は57両(4403 - 4459)、シメリンク・グラーツ・パウカー(SGP)製の車両は30両(4601 - 4630)が導入された。電気機器については前者がエリン製、後者がシーメンス製のものを用いた。だが、営業開始後に出力の低さが問題視された事から、以降の増備は改良型車両のE1形によって行われた。
1970年代からは信用乗車方式への対応や半自動段数制御システム(GEAMATIC)の搭載などの工事を受け、長期に渡って使用されたが、SGP製の車両は2002年、ローナー製の車両は2007年までに営業運転を終了した。以降は試作車の4401がウィーン市電で動態保存されている他、量産車の一部は以下の都市への譲渡が実施されている。
- オランダ:ロッテルダム(ロッテルダム市電)
- ボスニア・ヘルツェゴビナ:サラエヴォ(サラエヴォ市電)
脚注
注釈
出典
参考資料
- Georg Rigele (2000-2). “Womit die Wienerinnen und Wiener fahren”. ÖZG (11): 93-124. https://www.studienverlag.at/bookimport/oezgArchiv/media/data0607/ozg_2_00_aufsatz4.pdf 2023年2月19日閲覧。.




